癌が発覚してしまう

市内の総合病院へ転院

担当医は物腰柔らか、最後には何か聞きたいことはないですか?と聞いてくれた。

主人は頼りない印象を受けたようだが、私はこの先生が好きで心の中で「わしの先生なんだから文句言うなよ」と思っていた。

2回目の診察でもう一度搔き出しましょう、と言われて、いかに痛くて、医師と看護士が最悪だったかを訴えた。

先生は笑って「あれは外来でする中で一番痛いと思う、頑張った!」と褒めてくれて全身麻酔だから痛くないよと説明してくれた。

やっぱこの先生好き。

 

1泊2日の入院。

手術後、麻酔で朦朧としながらも「パーフェクトヒューマン」を歌っていたらしい。

らしい、というのは覚えていないということです。

夜、両親がお見舞いに来てくれた。

コンビニのモンブランとお菓子を買ってきてくれていて両親が帰った後、即食いそして即寝。

 

2週間後、子宮体癌と判明。

子供を望むなら、まだホルモン治療をすることができるけど、ここではやってないから転院。

本当は子宮と卵巣を切除することが望ましいらしい。

私は子供が欲しいのか分からなくて、でも物理的に作れない身体になるのはどうなのか・・・

主人に転院するよ、と伝えて紹介状を書いてもらう。

私の地元では一番規模が大きい大学病院への転院となった。

 

何故こんな痛い思いをしなければいけないのか

 

内膜を搔き出す手術は基本的には全身麻酔なので痛くない。

ただ、一番最初に受診した婦人科で笑気ガスのみで搔き出しを行った時は、本当に痛かった。

手術時間は10分程度だったらしいが、1時間くらいのように感じた。

地震が来て生き埋めになるという夢のようなものを見ていると、終わりましたよーと起こされると全身が汗でびっちょりだった。

その後も下腹部が痛く、ベッドではなく高さのある手術台の上でうずくまって痛みが軽くなるのをひたすら待った。看護士さんに痛いと訴えるも内部を搔き出したのだから仕方ないと言われるだけだった。

40分くらいだったと思うが少し痛みがひいてきた所で帰るように促されて、よぼよぼしながら迎えに来ていた親の車に乗った。

帰りに回転寿司に寄ったけど、あまり味がしなかった。

そしてその夜はすぐに眠ってしまった。

 

私の人生で痛い辛いランキングは、

1位ノロウィルス 

2位足の親指の爪を剥ぐ時の麻酔+その後の患部消毒 

3位側溝に落下 だったが、ぶっちぎりで1位に躍り出た。

 

事前にネットで調べて麻酔をするから痛くないという情報を得ており、笑気ガス=麻酔と思っていた私は軽い気持ちで手術に挑み、死んだ方がマシと思ったし、後で出産というものはこれより痛いのかと、どんよりした気持ちになった。

何よりも病院の選択は大事だと思った。

全く話を聞いてくれない、基礎体温がガタガタなのを頭ごなしに怒られる、予約時間意味無しで待たされた挙句、待合室の電気を消される・・・

その後、子宮内膜異型増殖症ということで総合病院へ転院となるが、時間とお金の無駄だったと今でも思っている。

 

 

 

はじめに

 

私は今35歳だ、12月で36歳になる。

去年結婚した。

家族計画に励む途中、主人は私に問題があるんじゃないか、と言い出した。

生理が重く、ピルを飲んではいたけど止めたし、毎年、子宮頸がんの検査も受けていたし、不妊の原因は男女で半々だと何か読んだ事もあったから、私に問題があると決め付けた主人に正直腹が立った。

・・・でもな、わし34歳だしな・・・ピルを処方してもらっていた婦人科を受診することにした。

転院を経て、結果、子宮体癌だった。

子宮と卵巣を摘出するか、子供を望むならホルモン治療後、体外受精と言われた。

 

さほど時間をかけず、後者を選んだ。

 

原因は主人の言うとおり、私にあったのだ。

本当は病気が発覚するずっと前から子供が欲しいのかどうか分からないのだ。

主人も最初は居ても居なくてもいい、と言っていたのに、何故か子供が居ないと結婚した意味が無い、と言い出した。

2人で頑張ろうと言われて、私はそうだね、と返事をした。

 

それから私は頑張らなくちゃいけなくなったのだ。